御船層群の化石
 御船層群は以前から貝化石を豊富に産出する地層としてよく知られていました。恐竜をはじめとするせきつい動物化石(背骨をもっている動物)は、1990年頃からたくさん見つかるようになり、今も採集が続けられています。
 御船層群で発見されるせきつい動物化石には、恐竜だけではなく、魚類・カメ類・ワニ類・翼竜類・哺乳類など、様々な種類の動物が含まれています。このことから、白亜紀後期前半の“日本”には多様な動物たちが存在していたことがわかります。また、被子植物や恐竜の足跡の化石なども見つかっています。
御船層群で見つかる恐竜
ヨロイ竜類
テリジノサウルス類
ティラノサウルス類
ハドロサウルス類
など
  種類 見つかっている部位
魚類 アミアのなかま
カメ類 アドクスの一種
シャケミスの一種
バジレミスの一種
スッポンモドキ類
スッポンのなかま
ティエンフケロイデス
腹甲(一部)・頭骨(一部)・上腕骨・肩甲骨・烏口骨・椎骨
ワニ類 正鰐類 下顎骨(一部)・頭骨(一部)・上腕骨・椎骨・歯・中足骨
翼竜類 アズダルコ類 頚椎骨・中手骨
恐竜類 ティラノサウルス類
ドロマエオサウルス類
テリジノサウルス類
オルニトミムス類
アンキロサウルス類
ハドロサウルス類
歯・末節骨・趾骨・腸骨(一部)・脛骨・腓骨・距骨・頭骨(一部)・椎骨・指骨・中足骨・中手骨
哺乳類

ソルレステス・ミフネンシス
真獣類

歯・歯骨
御船層群の特徴と年代

 日本の恐竜化石は主に白亜紀の地層から発見されています。恐竜化石が発見される白亜紀前期の地層としては、北陸地域に分布している手取層群や兵庫県の篠山層群などが有名ですが、恐竜化石が多く見つかる白亜紀後期の地層はあまり知られていません。
 御船層群は白亜紀後期前半にできた地層です(図中の黄色い部分)。この時代の陸成層はめずらしいため、海外の専門家からも注目されています。
 御船層群は全体として2000メートルの厚さがあり、地層をつくる岩石の種類によって古い方から基底層・下部層・上部層にわけられています。
 特に上部層は、約1000メートルの厚さがある陸成層で、たくさんの恐竜化石が見つかっています

御船層群 地層の特徴 主な産出化石
上部層 赤色の泥岩や灰緑色の泥岩、砂岩などが多い。
凝灰岩(火山灰でできた岩)も多い。
恐竜類・翼竜類・哺乳類・ワニ類・カメ類・イシガイ・巻貝・被子植物の化石など
下部層 黒色の泥岩や灰色の砂岩が多い。 シジミ・カキ・アンモナイト・三角貝の化石、ミフネリュウなど
基底層 礫岩(れきがん)や赤色の泥岩が多い。 魚類・カメ類・ドブガイ・イシガイの化石など